昨年9月から、第1水曜日夜「身近な日本の香りと薬草」を担当しています。この講座では身近に見ることができる薬草と、日本ならではの香りをひとつひとつゆっくりとご紹介しています。

 1月に日本の薄荷精油の90%以上を生産する滝上町の和薄荷の香りを取り上げました。   

 滝上町の和薄荷は外国のミントに比べてキツさがなく、驚くほど柔らかい香りです。

昭和の始めには世界需要の7割が北海道で生産されていた和薄荷ですが、時代の流れで国際競争力が下がり廃業が相次ぎました。その時、和薄荷の栽培を死守したのが北海道の滝上町の数件の農家だけで、現在日本の薄荷生産の9割を担います。そして今、その品質の高さが国内需要を掘り起こし始めています。

 

 その滝上町の商工会の指導員であり、生産者と共に尽力されている巻島純一朗様をゲストにお迎えしました。和薄荷を代々守り続けた瀬川さんを始め、生産者の方々のかっこいい笑顔、草取りと収穫の人手不足が悩みですが、その丁寧な手作業が品質の高さにつながっていることなどお話いただきました。課題と展望は農家さん達がきちんと暮らせるようになること、滝上町の和薄荷が広まり作付けも増え、きちんと産業として確立していくことです。

 蒸留釜の蓋が開いたときの写真に映った立ちのぼる蒸気。「この煙に飛び込みたい方は、秋にぜひ滝上にいらしてください!」との卷島さんの言葉に頷かれた参加者の方々も多いことでしょう。行きたい場所ができることや、自分が手にとることで日本の香りを守る持続的産業の一助になるという小さい喜びもまた、心の栄養だなぁ思います。

                              

  講座担当 中山道子

北海道滝上町「和ハッカ・ラボ」 (wahakkalabo.com) お問い合わせからどうぞ。

当日の動画はこちらからご覧ください。

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