古典芸能って、人に力を与えられるから愛され、発展し、そして現代にまで残っているのですね!

2月25日の「フレーゲの夕べ」では、今更ながらそんな「常識?」を実体験しました。そしてそんな日本人の遺伝子に刻み込まれている文化を、介護の場で自ら実演しちゃうなんて!きっと介護福祉士、中村知己さんの「想い」が生んだ妙案なのですね。

折角日本に生まれたのに洋楽好きで、講談などに意識を向けないうちに西洋に移住してしまった私は、最初「講談って、お経に物語があるって感じだな」と、その「調子」を耳で感じていました。でもそのうち、まるで歴代の講談師がのりうつっているのかと思うほど、その語り口調は熱くなっていき、戦国時代の戦いの様子が『五色備え』のタイトル通りカラフルに描かれていきました。

前日に勃発したウクライナ侵攻の衝撃が、陸続きで伝わってくる欧州に住む私には、拒否感すら覚えるほど臨場感のある戦場の描写。でも中村さんが時折挟むコメントに心をほぐしてもらっているうち、講談のポジティヴパワーが伝わり始めたのです!遠い異国の自宅で開いたノートパソコンの画面越しであれだけパワーを感じるのだから、直接体験できる介護施設の方々は凄いエネルギーを充電されることでしょう。羨ましい気がしました。

そんな「フレーゲの夕べ」体験を実現させてくれるリッチャー美津子さんと田口真生さんのお姿は、2021年5月の「六月の村第3回シニアフェス」で初めて拝見しました。お義母さまを看取られた時のお話をなさっていた看護師・介護士歴の長い美津子さん、別のプログラムの司会として、一生懸命で純粋なお人柄が滲み出ていた看護師の卵、真生さん。今回の中村さんが近隣の介護施設と助け合っているエピソードなどを聞いていると、自分の老後や義母との関わり方を現実的に考える指針にもなります。そんな貴重な体験をいつもありがとうございます。来月も楽しみにしています。

スイス・チューリッヒ在住 中東生

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