リッチャー美津子

「特別養護老人ホーム はちす苑」麻生知明苑長からお話を伺いました。

施設名の「はちす」は、蓮(はす)の古称が由来。水面から茎をまっすぐに伸ばし、大きな花を咲かせる蓮は、”清らかに生きる”ことの象徴とされています。ご入居者様にも、自分らしく、のびのびと暮らしてほしい。その想いから、できる限り日常生活に制約の少ない施設を目指しています。例えば、日中いつでも自由に外出できる文化や、ご利用者1人に職員が1人ついてサポートする個別介助型の入浴にこだわるのも、はちす苑の特徴。平成17年からは、「ターミナルケア」にも取り組み、はちす苑を終の住処に選んでいただけるよう、皆様一人ひとりのこころに寄り添ったケアを実践しています。(インターネット情報より抜粋)

専門職だけではなく、介護に関わる、また興味がある方々と「特別養護老人ホーム」の「いろいろ」を知り得る機会になりました。麻生苑長からレポートをいただきました。

はちす苑 苑長 麻生知明さんより

フレーゲではちす苑のことを話すことが決まった時、入職してからのことを振り返る良いきっかけになりました。

開設当初は、古き良き福祉の文化があり、それはそれで楽しかったのですが、平成18年の介護保険改正により収入が大幅に削減されると、社会福祉法人も株式会社と同様に、経営・収支・人事評価・人材育成などに取り組まなければいけない時代となりました。そのような状況においても、個別ケアへの流れを止めることなく、看取りケアも導入し、ケアの質向上を目指すことで、24年間はちす苑の介護が大きく崩れることはありませんでした。「運が良い」と言われればそれまでですが、その時その時、職員が踏ん張り、奮闘してきたことが大きいと思います。

今後は、培ってきたケアをさらにバージョンアップし伝えていくことが大切であり「従来型特養でどこまでできるのか」これをテーマに「はちす苑8つの誓い」の実現に向けて、努力していかなければいけません。

また、国が進める科学的介護・ICT・ロボット化・生産性向上・人員配置基準の緩和、事業所にとって厳しい状況は続きますが、3大介護(個別ケア)をきちんとやることでお年寄りが元気になる、そして最後までケアする(看る)、結果としてそれが、安定した施設運営につながり、課題である社会保障費の抑制につながる。人がしなければいけないこと、デジタルでできること、これをきちんとすみ分けをして、お互いのメリットを活用していく、このことを行政に伝えていく必要があります。そして、現在働いている介護(福祉)職員、世間一般の皆さんに、介護保険改正に常に目を向けていないと、国にいいようにされてしまう、いつの間にか社会保障費の負担が、自分たちにのしかかってくることを知ってもらわないといけません。

福祉とは、ふだんのくらしをあわせにすること、「声」を挙げて自分たちの仕事は自分で守り、私たちの仕事の専門性を訴え社会的地位を高めていきましょう。

最後に、セミナー時に答えられなかった私にとってのフレーゲとは、

「ふだんの くらしを しあわせにする。それをほんの少しお手伝いすること」です。

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