「89歳建築家・俳優 可也さんと語ろう」第4木曜日はゲストスピーカーの話題提供。今回は、スイス在住でホスピスに勤務されているリッチャー美津子さんから「専門職からみた介護の現状」。

「スイスと日本2つの国で、介護や看護の仕事をしてきた中で、何が違って?何が同じで?何が大切なんだろう?」

 ヨーロッパ、日本で訪問された、いずれも素晴らしい・先駆的な施設の沢山のお写真を拝見しながら「生活、暮らしの近くにある介護や看護について」お話を伺いました。
 
 ここで先駆的と私が思ったのは、「利用者さんにも、介護にあたる方にも寄り添う姿勢が根底にあるということ、その人の暮らしが大切にされていること」。池があるから柵をするのではなく、寄り添うことで、自然の中に人が暮らすことができること。

 参加者からは、必要な方に必要な福祉用具が届く活動をしているOさん、介護やリハを提供している方にもジレンマがある。ご自身の障害に対して知識を総動員して、一律の福祉制度と戦うHさんのお話。

 89歳可也さんは、サービスは受けるだけでなく、自分の頭で考えて自主自立。還元できることは試みたい。今日は沢山の写真からヒントを得られた。大きな変革の時代であり、これからもオハイオ(面白い、初めての、意味のある、驚きのあるもの)を作りたい。制度やしくみは一度できたら硬直化するのではなく、柔軟でありたい。美津子さんはすばらしいプレゼンターでプロのアナウンサー顔負け、内外の優れた介護施設の実例がよく分かり大変勉強になりましたとのこと。久しぶりにパートナーの恭子さんも同席、発想豊かな建築物を手掛けて来られた建築家です。ご自身の言葉を借りると「パーキンソンと認知症ともう一つに取り囲まれてギューギュー押し込められているから、つい黙ってしまう」。

 とおっしゃりつつ、
「介護保険制度で、週2回サービスを受けていたことがあるが、それは学校と同じ、集団行動。個々人のニーズに合わせたものではない。そうしなければ収支も合わないのだろう。一人ひとりがやりたいこと、施設に居ても家にいるようにできることが大事。制度を作る人がそこを十分理解する必要がある。紹介されたような試みが発信されていくことに期待する。」と本日の講座を締めくくって下さいました。

レポート 住所地球えん 圭子

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